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熱田神宮創祀千九百年記念茶会

 平生は静寂に包まれている熱田の杜は早朝から賑わいを見せていた。創祀千九百年大祭が執り行われるのである。
 御神体は草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)。もと、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)と言い、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が出雲の国で八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した際、尾より出現したと伝えられる。日本武尊(やまとたけるのみこと)が東国征討の折、焼津の地で火攻めに会い、この剣を使って草を薙ぎ、難を逃れたことから草薙神剣と称される。
日本武尊の没後、妃の宮簀媛命(みやすひめのみこと)がこの神剣を熱田の地に祀られたのが一一三年であり、今年が創祀千九百年にあたる。これを祝し、五月七日から十日まで献茶会所属流派による記念茶会が熱田神宮境内の茶席、又兵衛と千秋閣で開かれた。
五月八日は又兵衛において武者小路千家が席を担当した。平日のため来られない者も多く、慣れないNHK文化センターで学ぶ者も水屋に入ることができ、客を迎えるための心得を学んだ。一同心を一つにして、一服の茶を大勢に出すことの難しさをつくづく感じ、稽古では学べない経験を得られた。準備不足が懸念されたが、好天に恵まれたこともあり、予想を超える大勢の方々にお越しいただいた。緊張感が張りつめる中でも笑顔でお迎えし、盛会裏に記念茶会を無事に楽しく終えることができた。終えた後の余韻は何かしら心地よく、もう一度水屋に入っておもてなしの勉強がしたい。こうして茶道に深くなって行くのであろうと感じた。
十月には伊勢のご奉仕の命も賜り、緊張と気の抜けない日々が続くが、今後もより一層精進したい気持ちでいっぱいである。
(武藤 篤志 記)