茶釜師加藤忠三朗工房見学

01 武者小路千家 名宣会の社中ら百余名が平成二十六年二月から三月にかけて、愛知県長久手市にある、茶釜師加藤忠三朗さんの工房を見学しました。
尾張徳川家お抱えの茶釜職人「御釜師」の称号を持つ加藤家。昨年、十三代を襲名したばかりの忠三朗さんが、型作りから文様押し、着色、仕上げまで、昔と変わらぬ技法で茶釜を生み出す工程を説明してくれました。下絵に沿って鋳型にへらで模様を描き、表面に微妙な凹凸を付ける肌打ちの作業などは実際にやってみせてくれました。
圧巻だったのは鋳型に溶けた鉄を注ぎ入れる作業です。溶解炉で千五百度になった鉄は鮮やかな朱色で、ひしゃくにくみ取る時には火の粉が舞い上がります。助手と二人がかりで丁寧かつ素早く注ぎ込んだ後、少し時間を置き、鉄が固まったところで型を外して砂を落とすと、鈍い銀色をした五徳が姿を現しました。
普段見ることができない作業を目の当たりにした社中は、一つ一つの道具がどれほどの手間をかけて作られるのか、認識を新たにしました。
(坂口 千夏 記)

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